2014年の秋、柴山一幸は新しいプロジェクトの構想を練っていた。今度はギター中心のサウンドにしたいとまず考え、後に『YELLING』に収録される新曲を引っさげて、11月の月見ル君想フでのゲントウキ、伊藤俊吾と佐々木良との3マンライヴに臨んだ。これは柴山のその後の活動に大きく関わってくる組み合わせであった。
ベースに若山隆行、パーカッションにはそれまで柴山のライヴに幾度も出演した森芳樹、ギターにはライヴを観て誘った加藤ケンタと青木孝明、ドラムスには元カーネーション、現Controversial Sparkの矢部浩志が参加した。矢部と柴山はライヴの楽屋で一度叩かせてほしいと雑談したことがあり、駄目で元々と矢部に声を掛けたのだった。

その日のライヴは半分が新曲という形で、後に『YELLING』に収録される「機関銃とセーラー服」「Why Why Why」「愛こそは不得手」「コタツでアイス」などが柴山自身もギターを持つことで、トリプルギターで演奏された。
2015年1月には吉祥寺マンダラ2におけるGO→STのイベントに出演した。この日はギターに青木孝明、加藤ケンタ、ベースに若山隆行、ドラムスに矢部浩志という顔触れだった。
再びレーベルメイトとなった西村哲也が「コタツでアイス」ラジカセを柴山が持参し書き上げた「Why Why Why」にギターでゲスト参加し、アンコールでは西村哲也、一色進を加え「万能細胞」を演奏した。
この日のライヴは新曲以外は全て『I’l be there』の収録曲だったことが特筆される。
アルバムを進行する過程でキーボードが必要になり、再び杉浦琢雄に参加をオファーし、快諾された。

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『I’l be there』収録の「あなたの胸に抱かれたままで」以来の柴山と杉浦の共同作業は小さなグランドピアノだけがある部屋の中で行われた。お互いがアイデアを持ち寄り、3曲を完成させている。柴山のこれまでの作品からアップグレードされ、現在のライヴで重要な位置を占めるようになったのは「りんご病のあの娘」「Headway」「一つの幸せ」だった。
杉浦の参加で勢い付いたレコーディングに矢部が持ち込んだ曲が「SAYONARA」で、この曲は柴山にとって初めて完全に作曲を任せた形での作品であった。
アルバムの録音は基本的にライヴのメンバーを中心に進行されたが、ゲストギタリストとして柴山と縁深い西村哲也と青木孝明が参加している。
そして、ジャケットデザインを島田隆将が担当し、このアルバム収録曲「Headway」のMVの監督、撮影、編集も手掛けた。この収録は柴山と島田の2人のみで行われ、1時間程度で撮影を終了した。このMVではアルバムと統一のイメージを表現することに成功している。。
ちなみに最新作『Fly Fly Fly』も島田のデザインによる作品である。

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完成したアルバムは音楽雑誌等で絶賛され、このまま順調に進むかに思えた柴山に待っていたのは、発売記念ライヴに予定していた会場が閉鎖するという知らせであった。
急遽、会場を青山HEAVENに変更し、当初の予定通りの日時に開催されたライヴは、ゲストに伊藤俊吾と佐々木良を迎え満員の観客の中で幕を閉じた。

文中敬称を略させていただきました。
(text by Hiroshi Sugai)